バカと無知  著者:橘 玲 出版:新潮新書

初版2022年


興味深い一冊だった。
人の思考の癖や傾向について、研究結果や歴史などに基づいて書かれています。
自分では(ほぼ絶対に)気づかない。気づけない。

 

自分の発言や思考に気を付けたいと思う一方で、大多数の人たちが自分の思考の癖に気づけてさえいない。
さらに、その思考の癖が正しいか否かも分からない。著者は、現状まで(昔の)研究結果等に基づいています。それも100%結果が同じなどなく、「傾向がある」程度のものです。
もしくは「傾向がない」のにも関わらず、強い傾向があると勘違いしている(常識などです)。

 

現代の科学や研究でも分からないことは多い。特に、人の思考についてはほとんど分かっていないのではないかと思います。

この「分からない」ということを大切にしてきたいが、人は(自分も含めて)白黒つけたがる。分かりにくいことを嫌う。

 

断言する人を頭悪そうだなと裏でバカにしつつ、自分も時にはバカになって断言する。
そんな器用なことをしなければならなそうです。

 

人の思考の癖を理解する。そういった意味で良い一冊だと思います。
特に、愚痴が多い人やネット等への批判的な書き込みが多い人などは、自分の無知に気づけていない人が多いと思いますので、人生良くするヒントがあるかもしれません。
仮に、その人が本書を手に取ったとして、自分事に考えられるかは疑問ではありますが・・・