「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本<新版> 著者:竹下さくら 出版:日本経済新聞出版

本の評価:★★★☆☆: タイトル通りの本。必須の知識です。

評価基準

★☆☆☆☆:買ったことを後悔する

★★☆☆☆:部分的に面白い所もある

★★★☆☆:面白い

★★★★☆:とても面白い

★★★★★:保管して読み返したくなる

※独断と偏見です。

2012年初版

2023年2月25日記載

 

 多くの人にとって、最も大きな買い物が住宅だと思います。
本書は、住宅購入に関してファイナンシャルプランナーである著者の経験や知識に基づいて、金銭面を中心に説明した本です。

 

 例えば、セールス文句に「賃貸と同程度のローン負担で購入できます」と説明や記述があるそうです。それに対して、修繕積立金(マンションの場合)や固定資産税はどの程度ですか?とか考えるべきポイントを示しています。
 賃貸と同程度のローン負担を組んだ場合、多くの家庭が経済的に辛くなるそうです。
どの程度のローン負担が良いかについての目安についても言及されています。

 

 出版当初の話にはなりますが、住宅購入に関する減税措置などの話も入っています。
固定金利、変動金利どちらが良いかの考え方、子供の教育費等を含めたトータルでの家計負担などの視点も入っており、タイトル通り「家を買おうかな」と思ったときにまず読んでほしい本です。

 

住宅の最適解は十人十色。
 所感ですが、誰にとっても正解の物件は無いです。しかし、絶対に買ってはいけない物件はあります。例えば、家の造りや土壌に問題があるにも関わらず、不動産業者が騙して高値で売っているような物件です。見極めのためにも、知識は絶対に必要になります。
 ただ、本書は物件の良し悪しについての記述はあまりなく、それ以前の「お金足りる?」の点について書かれています。

 

賃貸VS購入の所感
 本書ではどちらが良いとの記載はないです。状況によります。
経済的には40年とか50年の長期で考えれば購入の方が得になる傾向があり、それ以下の短期では賃貸の方が得になる傾向があるようですが、もちろん物件次第です。
例えば、転勤の多い会社に勤めている人は賃貸の方が楽です。
購入しても人に貸す等できますが、その場合は人に貸して利益が得られるか否かの投資的な視点が必要です。
 例えば、子どもがいて今の賃貸が手狭になっても、独立するまで精々20年。その20年だけ広い賃貸に引っ越すことだってできます。経済的な話だけでいえば、部屋数の多い戸建てを購入するよりはトータルでは安くすみます。
例えば、理想の住まいが欲しいなら画一的な賃貸では難しいでしょう。
 ずっと住むつもりならば、転売価値や賃貸としての利回りなどは気にしなくてよいです。
 
購入の場合の マンションVS戸建て
 本書には記載のない話ですが、田舎ではマンションと戸建ての比較はほとんどなく、戸建て一択らしいです。地価が高い都市部で初めてこの比較が検討されます。
 つまり、「基本は戸建て」です。戸建の最大の魅力は自由度の高さです。修繕積立金が徴収されないし、いつ修繕してもよいです。改築も自分一人の判断でできます。騒音も問題になりにくいですし、マナーの悪い住民に悩まされる機会も少ないです。
 一方、マンションの利点は、眺望、セキュリティ面、土地にかかる固定資産の低さ、など何点かあると思いますが、最大の利点は立地だと思います。
 つまり、鉄道が発達している都市部において駅から近い。逆に、これらの利点に魅力をあまり感じないならば戸建てを選ぶべきです。

 

ローンは何年?金利は固定?変動?合計でいくらくらいかかるの?
 本書の中心はこのあたりなのですが、個別なので読み飛ばしました。
必要な方が、必要なページを読んでください。
 ただ、「銀行が貸す金額」=「返済できる金額」ではないということです。
銀行が貸してくれるからと言って、そのまま借りてしまうと返済がかなり厳しくなるようです。おいしいものも食べず、旅行にもいかず、「家のため」に一生懸命働く日々になりかねないです。
 また、リストラ等で収入が下がった場合、せっかく買った家を手放すことになるかもしれません。その時に、高く売れれば良いですが、思いのほか安かった場合は借金だけが残ります。

 一般的には、住宅ローンを組む頃(子どもが小さく、体も元気な頃)が一番お金に余裕があるそうです。そして、ローンは借金です。返済計画に余裕があるに越したことないです。