ワーク・シフト孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025> 著者:リンダ・グラットン 出版:プレジデント社

本の評価:★★☆☆☆:ちょっと長い。出版当時に読んでいたら★3か4だと思う。

評価基準

★☆☆☆☆:買ったことを後悔する

★★☆☆☆:部分的に面白い所もある

★★★☆☆:面白い

★★★★☆:とても面白い

★★★★★:保管して読み返したくなる

※独断と偏見です。

2012年初版

2023年2月18日記載

 

 2012年に出版された本です。過去から2012年現在までの仕事や働き方に関するデータや変化、最新のトレンドに基づいて、2025年の働き方を予想して、未来に向けて読者に提言をしたものです。


 中古で購入し、2023年の今、答え合わせ的に読んでみました。
まだ時代が追い付いていない(2040年頃の話かな)と思うようなこともありましたが、筆者が予想する方向に未来が進んでいると感じました。

 

 400ページ近くあり、興味の薄かった3割くらいは読まずに飛ばしました。
今でも参考になる部分は多かったと思います。印象に残った箇所の感想を記載します。

 

時間に追われる未来
 通信技術の向上と、温室効果ガス削減により車利用が減る(移動が抑制される)ことにより自宅で勤務するテレワークが増えます。さらに、グローバル化が進み、時差を考慮した打合せが行われます。これにより、これまでのように、始業時間や定時の概念が薄くなり、早朝から深夜まで自宅で仕事をする環境になります。非常に忙しくなります。勉強の時間は取れません。

 

 2023年現在の日本は、想定とは異なり、コロナによってテレワークが進みました。
また英語を母語とするイギリス人である著者と、日本人である我々とではグローバル化の進行のイメージは大きく異なると思いますが、方向性は合っているように思います。
日本でも、海外との遠隔会議などで早朝や深夜の業務を行っている方々も一般的になりはじめたと思います。

 

今後の仕事のアドバイス
・好きなことを仕事にする前提ではあるが、需要のある分野に進む。
 好きなことをする。しかし、時代の変化で要求される知識や能力はことなるため、その都度、キャリアチェンジのための勉強をする。必要に応じ、勉強するための時間を確保する。
・ゼネラリストではなく、連続スペシャリストになる。
 専門性が重宝されますが、必要となる専門性は変わっていきます。そして専門性は簡単には身に付きません。
 10年は〇〇に従事し、「2年学び直し」の後10年は△△に従事する。といった具合にキャリアを変えていく必要があるかもしれません。
 なお、広く浅くのゼネラリストはダメです。なぜなら、浅い知識はネットで誰でも得ることができるため、浅い知識に価値がなくなるためです。ネットがあれば、高校生でも相応のレベルのレポートを書くことができます。また、ネットにより各人の連携がしやすくなるため、自分が苦手とする分野の協力を得やすくなります。よって、全体的に浅く知っている人よりも、ある分野をとても詳しい人の方の需要が高くなります。
 

 他にも本書では具体的に学ぶべき分野の記載もありましたが、2012年に出版されていますので、本書を参考にするよりも現在を起点に検討されたほうが良いと思います。

 

所感
 今は猫も杓子もIT(インフォメーションテクノロジー)とかDX(デジタルトランスフォーメーション)とか言っています。とても重要ですし需要は高いです。
 しかしながら、我々の生活を支えているのはITだけではありません。電力、ガス、上下水道、物流(道路・線路)のデジタル情報でないモノがあります。電線や配管、ポンプやモータなどの実物です。日々の点検や定期的な交換が必要です。そしてそれらは誰でもできるわけではなく、相応の技能が必要になります。

 給与面や危険作業も伴い、若い人を中心に希望者が減っているとの噂も聞きます。IT技術により効率化が進んでいますが、あくまで効率化であり、今でも人手不足のようです(需要が高いです)。
 農業や畜産にも同様のことが言えると思います。我々は肉や野菜を食べますが、これらはデジタル情報ではありません。ITや農業機械の進歩で効率化は進んでいると思いますが、無人化は遠い未来(不可能?)ではないでしょうか。また、基本的に田舎での仕事のため、こちらも若い人の希望者が少なく人手不足との噂を聞きます。
これからは、このような現場に従事する方々の需要が高まるかもしれません。