JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則 ニック・マジューリ著 ダイヤモンド社

2023年発売

2024/3/8

 

投資信託を長期で買い続けることは、その分野では「有名」ではありますが、それを出来る人はごく一部です。(だから、お金持ちになれる人が少ない)
本書はその方法を継続するために役立つ本だと思います。

 

2024年現在、新NISAのスタート年であり、マネー系雑誌で特集されています。また、3月現在、日経平均最高値更新され、投資の機運がかつてないほど高まっているように思います。


そこで、人から言われて特に考えずにオルカンeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))を積み立てている人もいるかと思います。しかし、上がり続ける株など無く、調整局面や株価下落時には、同じように人から言われて考えずに売ってしまい損失を出す可能性が高いと思われます。


本書は株価下落時でも心を平穏に買い続けることができる本です。
ただ、「買う」ではなく、「何故買うのか」、をデータとともに根拠を示しています。

 

要約すると以下です。
・投資対象:株(債権、金、不動産などなどあるが1つを選ぶとするなら株)
・方法①:個別株は買わない。良く分散された低コストの投資信託ETFに投資
・方法②:買う時はなるべく早く買う。纏まった資金があるなら、安値を待たず早い段階で一度に買う。逆に売るときは、少額ずつ分けてゆっくりと売る。

 

これらについて、「何故」そうするのかが書かれています。
これこそが重要で、本書の主張である、ただ買い続ける(JUST KEEP BUYING)のためには、理由をしっかりと各々が理解している必要があります。

 

断言しますが、暴落時には株はオワコンとかネットやSNSでの書き込みが激増します。今回は過去の暴落とは状況が違うとか何とか。その時に多くの人が淡々と買い続けることが出来ない。自分だってもし積み立ててきた資産が半額になったらかなりきついと思いますし、想像と実際は違うので頭では分かっていても変な行動してしまうかもしれません。


しかし、何も勉強していない自分よりは本書を読んだ後の自分の方が遥かに耐えられると思います。本書はそう言った本です。


その他、個人的に良かったと思う点は
・罪悪感無しでお金を使えるよう、使った分と同額だけ投資する。
・投資は運に大きく左右される。儲けてもそうでなくともあなたの実力の影響は少ない。(だからそこまで気にしないように)
過度に贅沢な暮らしをしようとして大きなリスクを背負うのではなく、十分な暮らしができるお金を確実に得ることを重視しよう


・資産が増えても金持ちとは感じられない。
 仮に年収1,000万円でも東京港区に住んでいたら平均以下の家庭。収入によって付き合いも変わってくるため、どんな時も周りに自分よりも金持ちがいる。

 

個人的には、サイコロジー・オブ・マネー(ダイヤモンド社)の方が読み物としては面白かったですが、この本も非常に良い本でした。

 

 

成瀬は天下を取りにいく 著者:宮島未奈 出版: 新潮社

2024/3/7

 

近所の紀伊国屋書店で推薦されていたため購入してみました。

 

頭がよく緊張という概念のない少し変わった女の子「成瀬」が様々なチャレンジをしながら成長?していくお話です。中学生活と高校生活の話です。

成瀬が何をするのかと、ワクワクしながら読むことができます。

もし身近に成瀬がいたら、私は憧れを抱いたでしょう。

 

読むのが苦にならない面白い小説でした。

タイトルの「天下を取りに行く」はお笑いで天下を取るという意味?

 

年齢にかかわらず楽しめると思いますが、これから何かを始めたいと思っている中高生にお勧めしたいです。

その中でも特に、お話の舞台である滋賀に所縁のある方々はより楽しめると思います。

 

 

累進課税と優越感や劣等感について

2024/3/5

 

①遺伝は外見だけでなく、中も影響する。
 身長が遺伝するのと同じように、能力や性格も遺伝します。
つまり、あなたが運動できないのは人より努力不足ではないかもしれません。
勉強ができないのは、努力が足りない訳ではないかもしれません。
努力したいのに遊んでしまうのも、一概に怠け者だからと断言できないかもしれません。

 

②すべてが遺伝で決まるわけではない
 では、才能がない人は(才能がないと自分で思っている人は)何をやっても無駄なのか?そんなことは全くありません。
 ここに男子高校生がいたとして、今100mを15秒で走る場合、努力することで14秒にできると思います。(しかし、10秒台で走ることはまず不可能です)
 今偏差値50ならば55に上げることはできるでしょう。(地頭によるが、70に上げることは難しいでしょう)

 

③能力以外はかなり運の要素が強い
 努力には限界がある。しかし、努力で能力を上げることはできます。
ただ、これが人からの評価になるともう運の要素がかなり大きくなると思います。
例えば、役者や芸人など、テレビに出ているような有名な人と、小さな劇場の無名な人とを比較した場合、無名な人であっても能力が高く努力もしている場合も多いと思います。違いは運の良さです。
 もちろん、売れ続ける人は力もあり人間性も優れているのでしょうが、無名な人であっても能力が高く人間的に優れている人が大勢います。他にも漫画家、起業家、研究者なども運が大きく作用しますし、サラリーマンであっても配属部署や上司の人柄など運次第で、力が発揮できるか否かが分かれます。


④就職活動や恋愛も運だろうか。
 恋愛はルックスの影響が大きいように思います。これも努力は出来ると思いますが、限界があります。遺伝の要素が強いです。
 就職活動はルックスにプラスして学歴や資格が有利に働くと思いますが、これも頭の良さという点で遺伝の影響が少なくないと思われます。もちろん、企業研究や面接対策など出来ることはいっぱいありますが、面接官との相性もあると思われるのでやはり運の要素も強いと思います。

 

⑤お金について
 仮に今が戦国時代で知力よりも体力が重視されるとします。就職活動で100m走のタイムや握力を履歴書に記載する世の中だったらどうなるか。学歴や資格が意味をなさない世界だったら、今のエリートは劣等生になるかもしれません。
 少し前までは女性というだけで不利に扱われていたように、少し先の世界では男性というだけで不利に扱われる可能性だってあります。(男性の方は権力欲が強くハラスメントの可能性が高い、犯罪の確率が高く企業にとってハイリスクである)

 

累進課税
 もし今あなたが稼げているのであれば、たまたま運が良かったから。
少し生まれた場所や時代が異なれば、今の地位は無かったはずです。同じ理由で稼げていない人は、たまたま運が悪かったから。

この運の良し悪しの再分配が累進課税だと思うのです。
貧乏な人は必ずしも努力不足ではない。
お金持ちの人は、人より頑張ったのかもしれませんが、今の時代に有利な「学力」がたまたま得意だったり、先進国にたまたま生まれられただけだったり(環境が整っていただけ)と言う見方もできます。
努力の方向性も大切です。今の時代ならば、剣道を死ぬほど頑張っても金銭的にはあまり恵まれないかもしれません。

 

⑦優越感と劣等感
 お金、ルックスなどの外見を人と比べることもあると思います。身長や年収など比べるのが簡単です。
 劣等感を感じている人、あなたが努力不足な訳ではありません。劣等感を抱くくらいだから、むしろ人よりも努力していると思います。逆に優越感を感じている人、あなたが優れているのはたまたまです。もっと謙虚になってほしいです。


⑧結論
今の自分に出来る限りことをやって下さい。
頑張ったのならば、結果がどうであれ悔やむことは無りません。ただ、その時は運が無かっただけです。

アーモンド 著者:ソン・ウォンピョン 出版: 祥伝社

初版2019年

2024/2/25

 

2020年本屋大賞翻訳小説部門1位ということで読んでみました。

まず、当然ですが自分のことは棚に置いて書きます。
ワールドカップ見ながら選手を批判するように。

 

「一番売りたい本」と帯にありましたが、個人的にはそこまでではなかったです。面白いには違いないのですが、期待が高すぎたのだと思います。

私は通勤時間で読書していますが、少なくとも、続きが気になって乗り過ごすとか、感動して泣くとか、とういうのは無かったです。
淡々と「1章読んだから続きは明日にするか」といった感じです。
主人公は感情が無いのですが、それ故に主人公の気持ちがイメージしにくい点も影響しているのかもしれません。

 

韓国文化に興味のある方はより楽しめるかと思います。
韓国では公務員がすごく人気らしいです。そういった細かいこちらから見ると豆知識のようなものもあり、気づきになります。

 

昇進や昇格ができなかった人むけて(改訂版1)

今は昇進を希望しない人の方が多いようです。
しかし、ここでは昇進できなくて残念に思っている人、悔しく思っている人に向けて、書きます。少しでも気持ちが和らげば嬉しいです。

 

なぜ、残念なのか。悔しいのか。
 まず、気持ちの原因から考えてみます。おそらく以下のうちいずれかに該当するのではないでしょうか。
・正当に評価されていない。軽く見られているように感じる。
能力のない(と思われる)者が昇進したのにも関わらず、自分はそうならなかった。
・同期や後輩が先に出世しており、取り残されたような気分になっている。
・順番的に今年昇進すると思っていたのに、また家族からの期待があったのに、そうならなかった。

 

考え方
①昇進で失うものを考えてみる
 最初に書きましたが、今は昇進を望まない人が多いです。これは、昇進のデメリットをよく理解しているためだと考えます。
・給与が大きく上がる訳でもないのに、責任は重くなる。
・部下の面倒を見なければならない(部下の皆が優秀な訳ではない!)
・そんな部下の失敗で貴方の評価も低くなる。
・仕事は多くなるのに残業代は出なくなる。
・飲み会の機会も増えるし、余分に払うお金も増える。
・休みも取りづらくなるし、転職や副業のように新しい挑戦もしづらくなる。
多くの人はそんな生き方したくないと思っているようです。とはいえ、給与面や仕事への影響力の大きさなど、良い面もありますので、もう少し書きます。

 

②運の要素が強いことを理解する
 昇進するために最も重要なことは、力のある上司に気に入られて認められることです。
 まず、自分の上司に力がないと気に入られていても昇進しづらいです。
また、仮に力のある上司の部下になれても、その上司に好かれるかは分かりません。
配属先で、昇進のしやすさも違います。これらは運の要素が強いです。
また、貴方にその資格があっても、より適任の方(上司に気に入られる方)がたまたま同世代にいただけかもしれません。十中八九、あなたの実力がとりわけ低い訳ではありません。
 
③評価基準が戦前
 貴方は女性であったり、中途採用であったり、子育て中であったり、介護中だったり、職場から家が遠かったりしていませんか。
 それらは昇進の際に考慮されるかもしれません。考慮と書くとよく見えますが、つまりマイナスの査定をされます。ほとんどの場合、上司は「おじさん」です。古い体質から抜けられないのだと思います。こちらも貴方の実力や人間性に全く関係なく、悪いのは企業と日本社会の体質です。

 

④因果応報
 スピリチュアルなことを言うつもりは毛頭ありませんが、考え方の一つとして。
貴方は今まで品行方正に生きてきましたか?もし、回答が「はい」であるならば、貴方は何もしていない人か、自分を客観的にみられない人だと思います。ほとんどの人は生きているだけで、誰かを傷つけたり不快な思いをさせたりします。
 貴方は人を傷つけておいて、自分だけ望みが叶うなど甘い。都合が良すぎると思いませんか。今回昇進できなかったのは、因果応報であり、反省の機会ととらえて下さい。

 

⑤自分が昇進に相応しいというその自惚れに気づく
 何をもって、自分が昇進に値すると勘違いしているのでしょう。東大卒だから?花形の部署にいるから?毎日残業しているから?コネがあるから?社内での顔が広いから?
 どれ一つとっても昇進に適しているとは思えないです。勘違いも甚だしい。また、プレーヤーとしての能力と人を管理や指導する能力は異なりますよ。

 

蛇足ですが、以下に補足します。
・東大卒が勘違いの理由
 有名大学卒であること。そこから分かるのは勉強ができることです。努力したかもしれませんし、人より物覚えが良いのかもしれません。もちろん、それが業務に大きく貢献することもあるでしょうが、こと、昇進というと管理の立場に近づくわけですから、対人スキルが最も重要になると思われます。勉強ができることは力の一つではあるものの、さほど重要ではないのです。


・花形の部署が勘違いの理由
 力のある上司が多く所属していると思われるため、チャンスは多くなります。ただ、それだけです。貴方がそのポジションにふさわしいか否かは別の話です。


・毎日残業が勘違いの理由
 残業の対価は割増賃金(残業代)で既にもらっているはずです。昇進とは関係ありません。残業もして昇進もするのは対価の二重取りです。むしろ、仮に大した理由が無いのに残業している場合は、人よりも能力が劣っていることを示します。


・社内で顔が広いが勘違いの理由
知り合いが多いので、きっと人当たりが良いのでしょう。それ自体は好ましいことです。ただ、テイカー(人から貰うばかりで与えない人)の特徴も「顔が広い」です。ギバー(人に与える人)として敬意や尊敬を集めている場合もあり、一概には言えませんが、もしテイカーが管理する立場になったら最悪です。つまり、それだけでは何の理由にもならないということです。

 

以上より、昇進に値する明確な理由などなく、みんな「なんとなく」決めて「なんとなく」で選ばれているのです。誰々からの評判が良いから、何歳だから、笑顔がいいから、声がでかいから、指導している(ふうに見える)から、等、結構適当です。
創業社長は別ですが「なんとなく」なのです。


そもそも、出世したい理由について
①出世して何がしたいのですか?
もしかして、ただ、チヤホヤされたい、廊下ですれ違った時に頭を下げてもらいたい。そんな感じではないですか。それなら、出世よりもっといい方法があります。キャバクラやホストクラブに行くことです。
会社という狭い組織で他人と比較して劣等感を抱いているだけではないでしょうか。それは、「クラスで自分だけ逆上がりができない」と悩んでいる小学生と同レベルなので、まずは他人との比較をやめましょう。その時の体育の成績は1で、その時は辛いと思いますが、長い人生で、そんなのは気にする必要ないことを我々は既に知っているはずです。
万一、本当に小学校レベルの社員しかいなくて、本気でバカにしてくる同僚等がいるならばハラスメントとして訴訟しましょう。
そして仮に出世してチヤホヤされていても、定年で全て失います。

 

②出世の目的が承認である場合
自分の有能さを信じたい的なパターンです。しかし、有能さも色々あります。会社や上司が違えば評価も違う。今の時代の、この会社の、その上司からは評価が貰えなかった。とても限定されています。人としての評価という意味であれば、優しさ、思いやり、勇気・・・等様々なもっと重要なパラメータがあると感じます。
そして、それらの人としての価値に基づいて貴方の半径5mの人から認められればそれで満足なはずです。良識のある人ならば、役職に関わらず適正に人を判断して付き合うはずです。肩書でしか判断できないような人にはならないでほしいですし、そんな人に認められても仕方がないです。
 上司を上手くヨイショ!し続ければ出世はできるかもしれませんが、ヨイショし続けて定年を迎えるのでしょうか。肩書でしか貴方を見ない人に囲まれて幸せになれそうでしょうか。

 

③出世してやりたいことがあるという方。
 日本を変え、国民に影響力を与える。会社を変え、社員に影響を与える・・・権力をもって大きなことをやりたい。
そんな大きな夢を持っている方、大いに結構ですが、出世しないと、やりたいことが本当に出来ないのですか?それぞれの立場で、やり方あると思うのです。
政治家にならなくとも一票は投じられるし、社長にならなくとも提案はできると思います。貧しい人々を治療できなくとも、医薬品のための寄付はできるはずです。
この国には課題はまだまだ多く、良くしたいとの想いは素晴らしいです。
自分は自分に出来ることをやる。立場が何であれです。逆に、それ以上のことは出来ないはずです。立場が何であれです。

 

④出世の目的がお金の場合
 出世より良い方法があります。副業や投資です。サラリーマンである以上、多くの会社では年収2000万円や3000万円が上限ではないでしょうか。しかし、副業で人気You tuberになったり、起業で当てたり、投資で増やしいけたりすれば青天井で増えていきます。もちろん誰にでもできることではありませんが、億の年収も狙えます。そして、定年もありません。生きている限りチャレンジできます。

 

貴方がするべきこと
 貴方がするべきことは、昇進とか考えず、自分の仕事をしっかりやることです。注意すべきなのは、誰かが見てくれているなどと思わないことです。ぶっちゃけ、誰も見ていません。
しかし、貴方は見ています。貴方は自分の仕事を見ています。どんな立場であれ、いつか退職するときに、全力で職務に取り組んでいたかどうかで気分は全然違うと思います。やり切ったならその時の立場はどうであれ気分は爽快のはずです。
昇進させるか否かは他人が決めることです。人が決めることなので、間違いは当然ありますし、正確な評価などできるはずはないのです。他人が決めることはコントロールできないので、自分ができることを精いっぱいやることです。


その「自分ができること」は先に書いた自分の仕事を一生懸命やること。その他に、
・資格等の勉強もよいでしょう。
・副業もよいでしょう。
・少しでも自分を正しく評価してくれる企業へ転職することもよいでしょう。
・仕事はそこそこに、趣味等の好きなことを伸ばすのもよいでしょう(好きは意外な武器になるかもしれません!)。
・家族や友人との時間を大切にして、人生を充実させるのもよいでしょう(これは、多くの場合、出世した人ができないことです)。
つまり、何でもありです。

 

恋愛とか、就活とか、出世とか、お笑いのショーレースとか・・・様々なものが、ある程度努力できるものの、基本的には自分のコントロール外です。
自分に出来ることを頑張ったら、あとは視点を少し高くしてみてください。
逆上がりができないままでも、それはそんなに重要なことでしょうか。それに、逆上がりができなかったからこそ、他の可能性に気付けることもあると思います。

同志少女よ敵を撃て 著者:逢坂冬馬 出版: 早川書房

初版2021年

 

第二次大戦中のロシアを舞台としたお話で、主人公はロシアの女性狙撃兵です。

ロシアは日本から近い割には多くの日本人にとって馴染みの薄い国かと思います。


ちなみち、私はロシアが嫌いです。その理由は、ロシアへ一人で旅行した際にタクシーのぼったくりにあったためです。その場でもかなり抗議して、その後、警察にも助けを求めましたがダメでした。基本、英語が通じないし、他の途上国のような可愛げもないし、全体的に重苦しい雰囲気だし。見てくれが立派なだけで、中身が無く、自分のことしか考えていない上司のように腹が立ちました。

 

小説の話に戻ります。
そんな自分が読んだせいか、ロシア側に感情移入はできませんでした。
ドイツとの戦争を描いていますが、戦争なんてどっちも極悪ですし、主人公はドイツ兵にたいした理由もなく村を襲われ家族や友人を亡くしていますが、狙撃兵になった主人公はドイツ兵を100人以上葬っています。

主人公が敵兵を撃った時も、私は達成感や爽快感のようなものは無く、つまらない仕事を仕方なくこなしたような虚しさにも似た感情を抱きました。
ルパン三世石川五右衛門のセリフで「また、つまらぬものを斬ってしまった」とありますが、五右衛門もそんな心境だったのかとこの文章を書きながら感じました。

 

ただ、表現は素晴らしく、そんな過酷な環境下での日常、人とのつながり、またロシア独特の重苦しさも伝わってきます。自分まで冬のロシアにいる気分になりました。

なんだかんだと書きましたが、素晴らしい小説でした。
良い小説は違う世界に行ける点が素晴らしいですね。

1940年代のロシアに行きたい方にはお勧めしたいです。

2024/2/15

 

かがみの孤城 著者:辻村 深月 出版: ポプラ社

初版2017年


最初の2ページ読んだ時点で、「学園ものか・・・面白くなさそう」と感じましたが、誤解でした。名作でした。

 

是非、前知識のない状態で読んでほしいです。
有名な作品だけに、ネットではネタバレが多いので気を付けてほしいです。

 

今、学校に行けていない人には特に読んでほしいです。
社会人を含め、そうでない人にも相手に対する配慮を考えさせられる本だと感じました。


令和4年度の小中学校の不登校児童生徒数は約30万人とのこと(こども家庭庁)
学校の在り方も見直す必要があると思います。

 

今学校に行けずに苦しんでいる人がいるならば、うだつの上がらない平凡なおっさんから一言。

 

世界は広い。

大人もそれに気付けずに、過労死しちゃう人もいるけど。

 

誰も君の自由を奪えない。叫んでもいいんだ。助けを求めてもいいんだ。自分にその覚悟があるならば、相手を傷つけても構わない。

2024/1/29