技術士(機械部門)メタンハイドレート

Ⅲ-2 (1800字)

日本近海では、大量のメタンハイドレートが埋蔵されている可能性があると、報じられている。メタンハイドレート化石燃料のため再生可能エネルギーにはならない。メタンは石油や石炭に比べ燃焼時の二酸化炭素排出量が約50%なので、地球温暖化対策としても有効な新エネルギー源である。しかしながら、深海の海底下に存在し、石油や天然ガスのように掘削後噴き出して出来ないので、深海底500m~1000m位から自力で汲み上げる必要がある。したがって掘削法、採取法や運搬法などでは新たな技術開発が必要である。メタンハイドレートを新しいエネルギー源として実現させるための技術的課題、解決策およびリスクについてあなたの考えを述べよ。

  • メタンハイドレートの説明、埋蔵域、物性、を述べよ。
  • メタンハイドレートを掘削・採取する上での技術的課題と解決策を述べよ。
  • メタンの回収方法を3つ挙げよ。
  • 計画の具体化を進めるうえで留意すべき事項とリスクを述べよ。

 

 

 

 

(1)メタンハイドレートの説明、埋蔵域、物性について

以下にメタンハイドレートの説明、埋蔵域、物性について記載する。

説明:メタンハイドレートは、メタン分子が中にはいった氷の結晶であり、深海底のような低温高圧の環境下で、水とメタンガスが反応してできたものと推定されている。新エネルギー源として期待されており、掘削・採取が試みられている。

埋蔵域:おおむね、大陸棚が海底へとつながる海底斜面内の水深500-1000mに存在する。日本近海では、西日本地方の南側の南海トラフが埋蔵域となる。

物性:メタンと水を主成分とし、密度は0.9g/cm3程度である。

(2)メタンハイドレートを掘削・採取する上での技術的課題と解決策について

以下に技術的課題と解決策について私の意見を記載する。。

技術的課題:メタンハイドレートは氷のような固体状態で存在するため、流動性がなく、石油のように穴を掘っても自噴しない。また、ストロー状の筒を刺して吸い上げようとしても、メタンハイドレートは砂と混じり合って存在しているため、パイプに砂が詰まり吸い上げることが難しい。

解決策:私はこれらの解決策に、減圧法によるガスの回収が良いと考える。メタンハイドレート層部が、かご状になっている、採掘用の井戸を掘る。井戸中の水、及び砂をスラリーポンプにより汲み上げることで井戸中の圧力が下がる。減圧することで、メタンハイドレート層中のメタンが固体から気体となり、井戸から回収することが可能となる。

減圧法の原理を図-1に示す。

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(3)メタンの回収方法について

①土木的手法:メタンハイドレートを海底で容器に詰め込み、陸上まで運び上げる。陸上でメタンを取り出す。

(4)メタンハイドレートからのメタン回収における留意すべき事項とリスクについて

下記に私の考えを記載する。

1.留意すべき事項

経済性:回収するメタン以上のエネルギーが必要とならないか留意すべきだと考える。

2.リスク

地球温暖化メタンは二酸化炭素の20倍以上もの温室効果があるため、メタン回収の際に、メタンが大気中へリークすることにより、地球温暖化が進行すると考える。

津波の発生:メタンを回収することにより、海底の地形が変化し海底地すべりが生じ、津波が発生する危険性があると考える。また、洋上の技術者も危険にさらされると考える。