第3種下水道技術の用語と重要ポイントを纏めます。
HRT:Hydraulic Retention Time水理学的滞留時間
反応タンクのHRT(h) = 反応タンク容量(m3) / 流入水量(m3/日)×24(h)
標準活性汚泥法:6-8h
水面積負荷(surface load)(m/日) = 流入水量(m3/日) / 池の表面積(m2)
水面積負荷が大きい=SS除去率が低い
最初沈殿池(合流式) 25-50 m3/m2日
最初沈殿池(分流式) 35-70 m3/m2日
最終沈殿池(合流式・分流式)20-30 m3/m2日
沈殿時間(settling time) (h) = 池の容積(m3) / 流入水量(m3/日)×24(h)
越流負荷(weir loading) (m2/日) = 越流水量(m3/日) / せきの総延長(m)
返送汚泥比 = 反応タンクMLSS/(返送汚泥濃度-反応タンクMLSS)
循環比 = (返送汚泥量+硝化液循環水量)/流入水量
長時間エアレーション法
最初沈殿池を設けず、低負荷条件で処理をする。
ORP:Oxydation Reduction Potential酸化還元電位(mV)
好気条件で正電位。嫌気条件で負電位
硝化速度
アンモニア性窒素の減少速度
DO:Dissolved Oxygen 溶存酸素(mg/l)
SRT: Solids Retention Time 固形物滞留時間(日)
活性汚泥が系内に滞在している期間
ASRT: Aerobic Solids Retention Time 好気的固形物滞留時間
SRTのうち、好気性条件下に置かれている時間
AOR:Actual Oxygen Requirement 必要酸素量(kgO2/日)
BOD生物化学的酸素要求量
好気性微生物によって排水中に含まれる有機物を分解する際に消費する溶存酸素量
20℃5日間の酸素消費量を標準としている。
BOD-SS
反応タンクの活性汚泥1kgが1日に処理するBOD量
N-BOD
窒素化合物の酸化作用に起因するBOD
C-BOD
硝化作用を抑制した状態で測定したBODのこと。
MLVSS
有機物量の目安。(mg/l)
水中の汚濁物質を酸化剤で酸化するときに消費する酸素量を表現
100℃のウォーターバス上で30分間加熱分解することで測定できる。
測定法には、過マンガン酸カリウムやニクロム酸カリウムを用いる。
MLDO 活性汚泥混合液溶存酸素
反応タンク内の溶存酸素のこと。最低でも0.3mg/l以上
よう素消費量の高い下水の流入はMLDOを消費する。
溶解性BODの高い下水や水温上昇は、活性汚泥が活発になるため、MLDOを消費する。
シアンを含む下水は、活性汚泥に悪影響のため、MLDOは上昇する。
総括酸素移動容量係数Kla
好気タンクにおける酸素供給能力のこと。
SVI:Sludge Volume Index 汚泥容量指標
・活性汚泥の沈降性を表す指標。反応タンク混合液を30分間静置したときの1gの活性汚泥が占める容積をmlで表したもの。
・標準活性汚泥法で100~200ml/g程度。500ml/g以上の場合は、バルキング状態
バルキング対策は、反応タンクの前半部を嫌気状態にする。
・SVIが高いほど、沈降性は悪くなる。
SV:Sludge Volume
容量1lのメスシリンダー中で反応タンク内混合液を30分間静置したときの沈殿汚泥体積(%)
TS; Total Solids 蒸発残留物
資料を105~110℃で乾燥したときの残留物。
VTS; Volatile Solids 強熱減量
蒸発残留物を600℃で灰化したとき揮散する物質。
VTSは低いほうが(有機物量が少ないほうが)脱水性が良い。
アルカリ度
酸消費量のこと。アルカリ分を炭酸カルシウムで表現
アルカリの度合い。大きければアルカリ性。
水中に含まれているアルカリ成分を所定のpHまで中和するのに必要な酸の量をCaCO3のmg/lとして表したもの。
Mアルカリ度はpH4.8
空気を遮断した状態で冷暗所で保管
エルトリエーション
汚泥の脱水性を高めるため、汚泥を洗浄してアルカリ度を下げること。
活性汚泥の増殖過程
・対数増殖期:増殖は著しいが、凝集性は乏しい →
・減衰増殖期:凝集性のよいフロックを形成する →
・内生呼吸期:活性汚泥は解体・分散する
膜分離活性汚泥法
・好気タンク内に膜を浸漬する。
・MLSSが高い(8000~15000mg/L)
・SRTが大きい(標準活性汚泥法の3-4倍)
・HRTは6時間程度
・処理水に大腸菌はほとんど含まれない
HRT
酸素法(1.5-3h)<標準法(6-8h)<A2O法(16-20h)<OD法(24-36h)
流入水中に硝酸性窒素がほとんど含まれていないことから、流入水のケルダール窒素は全窒素とほぼ等しい。
1gのアンモニア性窒素を硝酸に酸化(硝化)=4.57gの酸素を消費
1gのアンモニア性窒素を硝酸に酸化(硝化)=7.14gのアルカリ度が消費
※化学式の計算あるが、省略
独立栄養細菌
炭素源として、二酸化炭素(CO2)を利用する細菌
硝化 ※硝化だけ独立
従属栄養細菌
炭素源として、有機炭素源を利用する細菌
脱窒、脱りん
硝化細菌
増殖速度は有機物を分解する細菌よりも遅い。約1/10のスピード。独立栄養細菌。
脱窒反応
2NO3-+10H→N2↑+2OH-+4H2O
回分式活性汚泥法 SBR:Sequencig Batch Reactor
同じ反応タンク内で活性汚泥による下水の浄化、汚泥の沈殿、処理水の流出を行う方式のこと。 つまり、一つの反応タンク(回分槽と呼ばれる)に反応タンクと最終沈澱池の機能を持たせるもの。
最初沈殿池は無いものが多い。
よう素消費量
・排水中に含まれる還元性物質の指標
よう素消費量が高い→溶存酸素を消費→生物処理機能を阻害
・資料をアルカリ性(pH12)にして保存
ふっ素の処理
・水酸化カルシウムによる凝集沈殿
循環比(R)
循環比=(返送汚泥量+循環水量)/流入水量
ヘキサン抽出物質
加水分解を防ぐため、塩酸を加えてpH4以下にして冷蔵。ガラス容器
アンモニア性窒素
化学生物的な変化をふせぐため、塩酸または硫酸でpH2-3にする。冷暗所
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MLSS(mg/L) |
BOD-SS |
反応タンク水深(m) |
反応タンクの形状 |
HRT(h) |
最終沈殿池水面積負荷 |
標準活性汚泥法 |
1,500-2,000 |
0.2-0.4 |
4-6 |
く形 (長方形) |
6-8 |
20-30 |
オキシデーションディッチ法 |
3,000-4,000 |
0.03-0.05 |
1.5 |
無終端水路 |
24-36 |
8-12 |
オキシデーションディッチ法 OD法:Oxidation Ditch porocess
・反応タンクの流れ方向にDO濃度勾配が生じる。MLSS濃度、アルカリ度はほぼ均一。
・原則、最初沈殿池は設けない。
・窒素除去率85%以上
・低負荷で運転されるため、安定した有機物除去ができる。
・SRT(固形物滞留時間)が長くなり、硝化反応が進行する。
・余剰汚泥は好気性分解が進んでおり、標準活性汚泥法に比べ安定している。
・汚泥返送比=100-200%(標準活性汚泥法は20-40%)
・無酸素ゾーンでpHの低下を防止する。(硝化反応が進行しpHが下がる)
A2O法(嫌気無酸素好気法)
・反応タンクは標準活性汚泥法の1.5倍
・ASRT(好気的固形物滞留時間)を長く保つ必要がある。
・下水道施設内で揮散。作業環境を悪化させる。不燃性。
・排出源はドライクリーニング業。
シアン
・凝集沈殿法では除去できない。
・錯塩法(紺青法)、フェライト法、キレート樹脂、アルカリ塩素法を用いて除去する。
・酸性で溶解。中性・アルカリ性で難溶性。Cd(OH)2
ノルマルヘキサン抽出物質
・管きょ内火災や爆発
活性炭
・主に排水中の有機物を吸着する。
りん除去
・PAC、塩化第二鉄、石灰
チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)
・還元剤
クロム
・6価クロムは強い酸化力をもつ。3価に比較して100倍毒性が強い。
・管きょを腐食する
・イオン交換樹脂法で除去する
・6価を3価に還元してから処理する。
オゾン消毒
・CT値=溶存オゾン濃度×接触時間
・オゾン注入率5mg/L
・排オゾン処理:活性炭吸着分解法、触媒分解法
塩素消毒
・15分後の残留塩素0.1mg/L以下
・大腸菌群数1cm3あたり3000個以下
軸流ポンプ
大容量&低揚程のポンプ
流れが主軸と同じ方向。
軸動力が大きく増加するため、締切り運転ができない。
立軸渦巻斜流ポンプ
案内羽根がなく、羽根枚数が少ないので、異物による閉塞がすくない。
吐出弁が全閉したことを確認してから、ポンプを停止する。
送風設備
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始動 |
停止 |
多段ターボブロワ |
吸込弁 全閉 吐出弁 全閉 |
全開 |
単段増速ブロワ |
放風弁 全開 吸込ベーン 最少開度 |
放風弁 全開 吸込ベーン 最少開度 |
容積形回転式ブロワ |
吸込弁 全開 |
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遠心脱水機
遠心効果1,500~3,000G
・差速が大きい→含水率上昇→固形物回収率は上昇
・ダムレベル上げる→含水率上昇→固形物回収率は上昇
※含水率の高い汚泥が多く出てくる。
固形物回収率
処理工程に投入される固形物量のうち、分離液として流出せずに汚泥として「回収」される割合のことを指します。
回転加圧式脱水機
凝集汚泥を連続回転する円板フィルタ2枚とスペーサの間に投入し、圧搾脱水する。
圧入式スクリュープレス脱水機
回転数の増加に伴い、処理量、含水率は上昇。固形物回収率は低下。
ベルトプレス脱水機
・ろ布の交換周期は3,000~5,000時間
・公称処理能力=有効ろ布幅×ろ過速度
・最大ろ過速度:サイドリークが起こる寸前の処理能力
多重円板型脱水機
上段及び下段に配置した薄い円板を並べたろ体を駆動装置でそれぞれ回転させ、上下のろ体間に汚泥を通過させることで脱水を行う。
ろ体の回転数を上げると処理量は増加するが、含水率は高くなる
重力濃縮
汚泥浮上の対策
※汚泥の腐敗を防止する
・最初沈殿池から新鮮な汚泥を投入する
・固形物滞留時間を短くする
・連続運転にする
・薬品を入れる
・余剰汚泥は有機分が高く、沈降性は悪化
・固形物負荷:60-90kgDS/m2日
・投入汚泥の固形物濃度は低いほうが、沈降性が良好(0.5-1.0%)
りん酸マグネシウムアンモニウム(MAP) magnesium ammonium phosphate
汚泥管の閉塞原因。閉塞防止対策
・合成樹脂ライニング鋳鉄管に交換する
・消化汚泥や脱離液を送泥する前にばっ気する。ばっ気することで、MAPを事前に析出させる。
・ポリ硫酸第二鉄を添加する。
汚泥中のりんを不溶性のりん酸鉄にする。
旋回溶融設備
・乾燥脱水汚泥溶融システムと焼却灰溶融システムがある。
・乾燥脱水汚泥溶融システムの含水率は10%以下とする。
・溶融炉内は1,200~1,500℃の温度に維持する。
受変電設備・負荷設備
・負荷側の遮断器が開路の後、断路器の開閉
・遮断器:保護継電器に応動して、短絡電流の遮断
インバータ制御方式
かご形誘導電動機を可変速させる方式
VVVF方式
かご形誘導電動機の速度制御
VVVF装置には、半導体電力変換器(インバータ)と電子制御回路で構成されている
高圧コンビネーションスタータ
高圧交流電磁接触器(負荷の開閉・過負荷保護)と限流形電力ヒューズ(短絡保護)を組み合わせた装置。高圧電動機や高圧コンデンサの開閉装置
電力ヒューズ
電路、変圧器、コンデンサ、電動機の短絡保護のために設置
保護継電器
電路や機器に異常が発生した時、これらを系統から切り離す
遮断器
負荷電流の開閉を行う
コントロールセンタ
配線用遮断器や電磁開閉器をユニット化したもの
動力制御盤
配線用遮断器や電磁開閉器を負荷ごとに区画せずに、任意に配置したのも。
吐き口
処理水や雨水を公共用水域に放流するための施設。
伏越し
河川等の下を通す管。常に満流となっている
ピグ洗浄
配管の内部にポリウレタンや金属などで出来た玉(ピグ)を挿入し、圧力をかけ配管内を走行させることで汚れを取り除く。
分流式下水道における誤接続の調査
・送煙試験:発煙筒を使用
・音響試験:ハンマー等の打撃音や音波で試験
・染料試験:上流から下流へ、無害な蛍光染料を流す
ホースマスク式呼吸器:動力を必要としない。自分の呼吸で離れた場所の正常空気を吸気
エアラインマスク式呼吸器:空気圧縮機の空気を使用する。
公示しなければならない事項
・共用を開始すべき年月日
・下水を排除すべき区域
・共用を開始しようとする排水施設の位置
・共用を開始しようとする排水施設の合流式又は分流式の別
公示すべき事項は、条例ではなく、法で定められている。
除害施設を設ける水質項目
・温度
・水素イオン濃度
・よう素消費量
水質の検定方法
・よう素消費量 資料をアルカリ性(pH12)にして保存
・BOD 試料採取後9時間以内に着手
・大腸菌群数 滅菌した器具
・日の平均を示している時刻に、中層部の水深から採水
計画放流水室の項目
・生物化学的酸素要求量 15mg/L以下
・窒素含有量 20mg/L以下
・りん含有量 3mg/L以下